肘内障について
肘内障とは肘の亜脱臼のことです。
脱臼は完全に関節が外れた状態を指しますが、亜脱臼とは関節が外れかかった状態を指します。なので、厳密に言うと脱臼と亜脱臼は違います。
つまり肘内障とは肘の関節が外れかかった状態を指します。5、6歳までの幼児に発生しやすい症状です。
肘内障とは?
肘内障とは
肘の関節である橈骨頭(とうこつとう)が、輪状靭帯(りんじょうじんたい)から外れそうな状態のことを言います。外れていなくて「外れそう」と言うのがいわゆる脱臼ではなく亜脱臼の状態です。
※輪状靭帯とは・・・肘の親指側にある、前腕を左右に回転する時に骨を支える靭帯のことです。
車に乗っている時に、シートベルトで固定していた体がすり抜けそうなイメージです。このような状態になってしまうと、子供は腕を下げたまま動かせなくなってしまいます。
なぜ子どもに多いの?
なぜ肘内障は子供に多いのでしょうか?
小さい子供、特に6歳以下の子供の体は成長過程です。大人と比較して肘の輪状靭帯と橈骨頭がしっかりと固定されていない状態であり、強めの力で引っ張ると亜脱臼を起こしやすいのです。成長し大人になると、固定がしっかりするので亜脱臼が減ります。
どんな時に起きやすいかと言うと、
・道路に飛び出しそうな子供の腕を引き寄せるために引っ張ったら、急に痛がり泣き始めた
・駄々をこねて起き上がらせようと腕を引っ張ったら腕が下がったまま動かなくなった
など、子供ならではの発生要因があります。
どんな症状が出るの?
主に以下のような症状があります。
- 片腕がだらんと力が抜けて下がった状態になる
- 肘を動かすと痛みがある
- バンザイの姿勢は痛みが増強するためできない
といった症状があります。
骨折とは違い、腫れはなく指先は動きますし、指先の皮膚の変化(青くなったり)もありません。腕を触られている感覚もあります。受傷後は肘をやや曲げて腕を下げた姿勢が痛みが少なく楽なため、このような姿勢でいることが多いです。
このような症状が見られたら無理に動かさずに医療機関を受診しましょう。
治療と検査
骨折の症状が当てはまっていたり、判断が難しい状態であればレントゲンを撮りますが、状況を確認して肘内障の条件に当てはまれば特に検査は不要です。
回内法
肘関節を屈曲した状態で橈骨頭の部分を抑えながら手のひらが下向きになるように内側に腕を回転させます。
回外法
肘関節を屈曲した状態で橈骨頭の部分を押さえながら手のひらを上向きにして、子供の体側に肘を曲げます。
これらを徒手整復と呼びますが、医療機関に受診し上記の方法を実施することで「ぷちっ」と言う音とともに関節が戻ります。整復には痛みが伴うのでお子さんは泣いてしまいますが、15分程度時間をおいてバンザイの姿勢が取れ、元の動きができるようになれば治癒です。
まとめ
肘内障についてお分りいただけましたでしょうか?
一度発症すると繰り返しやすいですが、成長とともに輪状靭帯が発達することで頻度は減ってきます。発症後はしばらくの間、腕を強く引っ張らないように注意しましょう!