誤飲について
小さいお子さんは興味を持ったらすぐに口に運んでしまうことが多いですよね。食べ物以外のものを飲み込んでしまうことを誤飲と言います。
普段から気をつけていても不測の事態は起こりえます。知識を身に着け素早く対処することで最悪の状況を回避できるかもしれません。
誤飲とは?
食べ物以外のものを飲み込んでしまうことを誤飲といいますが、食べ物意外とはどのような物を指すのでしょうか?
主に5歳児以下の誤飲が多いといわれていますが、5歳児の口に入るものと言えば
たばこ、お酒、電池、磁石、洗剤、防腐剤、画鋲などの鋭利なもの、ガソリンや灯油、医薬品、吸水ボール、おもちゃなどなど。。。簡単に上げてみてもこれだけのものがあります。
子供は興味を持つとよじ登ってでもなんとか取ろうとします。
もし誤飲してしまったら
もし誤飲してしまったら、誤飲したものによって対応が異なりますが、基本的にすぐに病院受診が望ましいです。
タバコ
たばこを飲んだ時に問題となるのがニコチンです。吐かせようとしたり飲料を飲ませて薄めようとするとニコチンが逆に吸収されやすくなってしまうので、何も飲ませずに直ちに病院に行きましょう。特に、灰皿の中などタバコが溶け出している液体はニコチンの量も多く危険です。直ちに受診しましょう。
電池
電池で多いのはボタン電池の誤飲です。電池が粘膜にはりつくとアルカリ性の液体がたんぱく質を溶解して化学やけどを引き起こします。特に食道の粘膜に張り付きやすいです。
耳や鼻の中に入り込むと、同様に化学やけどを引き起こすことがあります。
以下は鶏肉を使った化学やけどの実験です。たった20分でこんなに組織を溶解してしまいます。
胃まで到達するとアルカリ性の液体が漏れて胃潰瘍や穿孔を引き起こす可能性がありますので、直ちに医療機関に受診しましょう。
次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系漂白剤(ハイターなど)
最近はノロウイルスなどで次亜塩素酸漂白剤の使用が増えてきました。その関係で子供の誤飲のリスクも高まっています。
塩素系漂白剤は誤飲すると口腔内や気管の皮膚の粘膜を損傷し、胃酸と反応することで塩素系ガスが発生する危険性があります。
無理に吐かせようとすると、気管に誤って吐物が入り込み誤嚥性肺炎を生じるリスクがあるので、やめましょう。
可能であれば口の中を水ですすいでからコップ1〜2杯の水または牛乳を飲ませましょう。牛乳は胃粘膜を保護してくれるので、水よりは牛乳の方が効果的です。
その後、誤飲した製品を持って直ちに医療機関に受診しましょう。
手指消毒剤などのアルコール含有製品
消毒剤にはアルコール成分が含まれているため、誤飲すると急性アルコール中毒になる可能性があります。コロナにより手指消毒の機会が増えており、ボトルに入れた消毒剤を誤って子供が飲む事故も発生しています。
アルコールは揮発性なので、舐めた程度であれば問題ないことがほとんどですが、アルコール含有量が多い分、飲み込んでしまった場合は病院への受診が必要です。赤ちゃんの場合は一口以上飲んでいれば注意が必要です。
可能であれば口の中を水でゆすいでから体のアルコール量を薄める目的で水分(水または牛乳、ミルク)を取らせてあげましょう。その上で誤飲した消毒剤を持って直ちに医療機関に受診してください。
誤飲後30分~2時間ほどでアルコールの濃度がピークに達します。アルコール中毒の症状は吐き気、嘔吐、体温の低下、意識混濁、昏睡などですので、症状の変化にも注意しましょう。
灯油、ガソリン、除光液などの石油製品
これらは吸い込んだり無理やり吐かせた場合、気管に入りやすく肺炎を引き起こしやすいです。薄めるためや吐かせるために飲み物を飲ませることは絶対にやめましょう。毒物の体への吸収速度が早まります。ガソリンと除光液は特に揮発性(液体の蒸発しやすい性質)が高く気道から吸引しやすいため化学性の肺炎を引き起こしやすくなります。灯油はガソリンや除光液よりは揮発性が低いですが、肺炎を引き起こしやすい成分であることは変わりありません。
皮膚粘膜に損傷を起こし内臓にも損傷を与える可能性があるので直ちに医療機関を受診しましょう。洗濯用洗剤
最近は1回分をパックした(ジェルボールタイプ)洗濯用洗剤が販売されるようになりました。水に濡れると溶け出す仕組みであり、子供が食べてしまえる大きさなので、誤飲の発生例が報告されています。その他にも従来からある液体や粉末洗剤の誤飲もまだまだ発生している現状があります。
洗剤を摂取してしまった場合は、無理に吐かせず水や牛乳、ミルクを飲ませ、医療機関を受診しましょう。牛乳やミルクは胃壁を保護して、洗剤の成分による影響を弱めてくれます。無理に吐かせると気管に誤って入ってしまい誤嚥性肺炎を発生させるリスクがあるため注意しましょう。電話対応窓口
誤飲は突然の出来事で、判断が難しい時や動転して頭が回らないことが多いのではないかと思います。そんな時に電話で相談できる窓口があったら安心なのではないでしょうか?
厚生労働省や日本中毒情報センターでは一般の方には無料で電話相談を受け付けています。
■子供医療でんわ相談♯8000
♯8000を押すと地域の相談窓口に転送されます。小児科の医師や看護師が対応方法をアドバイスしてくれます。
■大阪中毒110番(365日 24時間対応)
一般市民専用ダイヤル072-727-2499 (情報提供料:無料)
■つくば中毒110番(365日 9時~21時対応)
一般市民専用ダイヤル029-852-9999 (情報提供料:無料)
■たばこ誤飲事故専用電話(365日 24時間対応、自動音声応答による情報提供:一般向け) 072-726-9922 (情報提供料:無料)
詳しくはホームページをご覧になってみてください。
※中毒110番は実際に事故が発生している場合に限定し情報提供しています。
まとめ
子供の誤飲で一番多いのはタバコやタバコの汁です。子供は手の届かないと思っていた場所にも登ってくることがあります。ジュースの缶を灰皿代わりにしたりタバコを机の上に置いたままにしないようにして、十分気をつけて管理しましょう。また、コロナやノロウイルスなど、時期によって誤飲するリスクの高まるものがあります。家族全体で注意して子供の誤飲を予防しましょう。
いくら注意しても不測の事態は発生してしまうものです。発生したときにすぐに対処できるように知識をつけておきましょう!