ノロウイルスについて

私は小児の訪問看護ステーションに勤めていたので、いろんな個性を持ったお子さんと出会ってきました。出張撮影で障害を持ったお子さんも写真に撮っています。

子供と接する仕事ですので、起こりがちなトラブルや先天性の病気については日々勉強しています。撮影現場で、少しでも安心していただきながら撮影できるように、自分の知識をアウトプットする場として、このブログを活用させていただこうと思います。このブログは先天性をお持ちのお子さんではなく、子供にありがちなトラブルも掲載しようと思いますので、「こんなのもあるんだー」と記憶の片隅に残していただければ幸いです。

1回目はノロウイルスについてです。

目次

ノロウイルスについて

ノロウイルスは下痢、嘔吐などの急性胃腸炎症状を引き起こします。

年間を通して発生しますが、低温や乾燥を好むため冬に多くなります。インフルエンザが流行る頃に発生するイメージが強いのではないでしょうか。感染力が強く集団感染を引き起こします。これから一段と寒くなってくるので、注意が必要な病気ですね。

ノロウイルスの特徴

主な症状は吐き気、嘔吐、下痢、37~38度台の熱です。

感染経路としては

カキなどの二枚貝の経口感染

便や吐しゃ物に接触した手を介した接触感染

便や吐しゃ物の処理が不十分で飛沫を吸入して感染する飛沫感染

便や吐しゃ物が乾燥して空気中に舞い上がり小粒子を口から吸いこむことで感染する空気感染があります。

潜伏期間

潜伏期間は一般的に1~2日です。症状が1から2日続いたのち治癒に向かいます。軽い風邪のような症状の場合もあるようです。

発症したらどうなるの?

ノロウイルスに感染したら潜伏期間の1~2日を経て発症し、嘔吐、下痢の症状が続きます。その後約1~2日程度で治癒します。法的に何日仕事や学校を休まないといけないという定めはありませんが、感染力が非常に強いことや発症から1週間程度は体内にウイルスが保有されている可能性もあるため、1週間はお休みすることが望ましいです。会社で独自に取り決めていることもあるので、その都度会社に連絡して確認するのがいいかと思います。

薬はあるの?

ノロウイルスには有効な抗ウイルス剤はありません。嘔吐は下痢はしんどいですが、とにかく外に出してウイルスをスッキリと排出することが大切です。下痢止めや吐き気どめを使うとウイルスが体内に留まってしまい症状が遅延する可能性があります。乳幼児や高齢者は脱水に陥りやすいので、水分補給をしっかりとしましょう。水分がどうしても取れない場合は病院で点滴をしてもらうことも考慮しましょう。

感染対策について

ノロウイルスは石鹸やエタノール消毒剤では完全にウイルスを死活化することはできません。しかし、標準予防策として、手洗いや消毒は必ず行うようにしましょう。効きにくいというだけで全く効果がないわけではありません。

以下、内閣府が提示する消毒薬の作成方法と消毒対象別の対策例を挙げておきます。

消毒対象処理例
調理器具等洗剤などで十分に洗浄した後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すようにペーパータオル等で拭く(加熱できる物については熱湯での加熱が有効)。
ドアノブ、カーテン、リネン類、日用品次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200〜500ppm) で浸すようにペーパータオル等で拭く。
トイレ・浴槽次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度300ppm以上)で浸すようにペーパータオル等で拭く。
おう吐物・ふん便による汚染場所・おう吐物等は、ウイルスが飛び散らないようにペーパータオル等で静かに拭き取り、ビニール袋に密閉して廃棄する(この際、ビニール袋に廃棄物が十分に浸る量の次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm)を入れることが望ましい)。
・床等の汚染場所は次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)で浸すようにペーパータオル等で覆うか、拭きとり、その後水拭きする。
患者使用のリネン及び下着類・廃棄するのが望ましいが、煮沸消毒も有効(水やお湯のしぶきを吸い込まない等、二次感染への注意が必要)。
・煮沸消毒が行えない場合には、洗剤を入れた水の中でウイルスが飛び散らないように静かにもみ洗いし、有機物を取り除いた後、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm)の消毒が有効(十分すすぎ、高温の乾燥機などを使用すると殺菌効果が高まる。また、もみ洗いした石けん液には次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm以上)を加えて、10分間以上置いたのち、捨てること。)。
 ※可能であれば、ふん便・吐物が付着した衣類は、もみ洗いをせず、次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度1000ppm以上)に漬け置きする方が洗濯時の二次感染を防ぐ上で好ましい。
・布団などすぐに洗濯できない場合は、屋外で、日光に当ててよく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的。

※作業時はガウン(エプロン)、マスクと手袋を使用し、換気を十分に行いましょう!
※使用後の手袋やペーパータオル等はビニール袋に入れて捨てましょう!

※高度な汚染がなければ次亜塩素酸ナトリウム(塩素濃度200ppm〜500ppm)で浸すように拭く程度の消毒でかまいませんが、次亜塩素酸ナトリウムの殺菌力は有機物による影響をうけるため、必要に応じて濃度を調節しましょう。

※次亜塩素酸ナトリウム消毒液(塩素濃度200ppm)の作り方

市販の漂白剤(塩素濃度約5%)を250倍希釈して作ることができます( 例:5Lの水に漂白剤を20ml入れる。)。
なお、酸素系の漂白剤(商品名:ワイドハイター等)ではなく、塩素系の漂白剤(商品名:ハイター等)でなければ効果的な消毒はできません。 漂白剤を使用する際は、使用方法を守り、塩素系のものと酸素系のものを混ぜたり、熱湯で希釈しない(消毒効果が低下します)ようにしましょう。

出典:内閣府 ノロウイルスの消毒方法 食品安全委員会

まとめ

ノロは感染力がとても強いウイルスです。まずはほかの人に感染させないために休養と感染対策をしっかり行いましょう。

かかってしまったら下痢や嘔吐は無理に止めずにしっかりウイルスを排出しましょう!水分が十分に取れなければ脱水の恐れがあるため、その時は病院にかかりましょうね。

この時期、集団感染のニュースも目にするノロウイルス。子供たちもかかりやすいので、しっかり対策してこの冬を乗り越えましょう!

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