熱性けいれんについて

けいれんを引き起こす原因は様々ですが、その中でも今回は熱性けいれんについて詳しく記事にしていきます。

そもそも「けいれん」とは

「けいれん」とは、体の筋肉が不随意(意思とは無関係)に持続的、断続的に収縮することです。本人の意思ではコントロール不能の状態です。

けいれんの原因は様々で類似症状もあるため、慎重な鑑別が必要です。

てんかん性と非てんかん性発作

けいれんはてんかん性と非てんかん性に分けられます。

「てんかん」についてはまた別記事にしますが、簡単に説明すると

てんかん性:明らかな誘因がない場合もあり、けいれんが繰り返し発症します。けいれん性疾患とも呼ばれます。脳腫瘍や脳梗塞などの脳の構造的な問題がある場合は症候性てんかんと呼びます。

非てんかん性:感染症や薬剤、熱による影響で「けいれん」を発症します。熱性けいれんはここに当たります。

熱性けいれんとは

熱性けいれんは、熱が高くなると発症する非てんかん性のけいれん発作です。感染症により通常38度以上の発熱を伴います。診察した上で明らかな熱以外の要因がない場合に熱性けいれんと診断され、解熱とともに症状が消失するのが特徴です。

生後6カ月~5歳で最も発症しやすく、小児期だけに起こるけいれんです。6歳くらいでほとんど発症しなくなり、6〜7割は人生で一度しかけいれんを起こさず改善します。

熱性けいれんは単純型と複雑型に別れます。ほとんどの小児が単純型ですが、一部は複雑型でてんかんに移行することもあります。

単純型:全身の震えが左右対称に起きて、15分以内で消失する

複雑型:15分以上のけいれんが続く、左右非対称で症状が出る(部分発作)、24時間以内に複数回反復する

※部分発作…体の一部分に優位にみられたり、半身のけいれんや眼球偏位(目の位置が正面以外に向く)など左右差がある、一点をじっと見つめたり動きが止まるだけでけいれんを伴わない状態のこと。

複雑型は症状を繰り返しやすく、低い熱でも発症しやすいことや、一部はてんかんに移行することがあります。

なんで発症するの?

では、熱性けいれんはどんなメカニズムで発症するのでしょうか?

5歳以下の成長段階の脳は急激な体温の変化に弱く、通常38度以上の高体温でけいれんが発症しやすくなります。両親に熱性けいれんの既往があると、2~3割発症の確率が上がります。

突発性発疹やインフルエンザなど、高熱を引き起こすものは全てけいれんの誘因になります。

「けいれん」が起きるとどんな症状になるの?

熱性けいれんが起きた時、

意識消失またはボーッとしている、全身の震え、手足がつっぱる、体が反り返る、白目を剥く、嘔気、嘔吐、唇が紫になる、口から泡が出る、顔面が青白くなる、失禁する

などの症状が出現します。

この状態を初めて見ると、「このまま続いて意識が戻らなかったらどうしよう」「頭が真っ白でどうしたらいいかわからない」などパニックになる方も多いです。そんな時こそ冷静に対応できるように、以下に発症時の対処方法を説明します。

対処法

けいれんが起きた時、体を叩く、起こすなどの強い刺激を与えたり、舌を噛まないように無理に口を開けたり物を入れたりすることは誤嚥や窒息の可能性があり危険なのでやめましょう。

・嘔吐する場合が多く、吐物が気管に入り込み肺炎になったり吐物が詰まり窒息しないよう体を横に向ける
時計を確認して、今の時間とけいれんがどれくらい続いているのかを確認する
・呼吸がしやすいように服を緩める
・発作が落ち着いたら体温測定をする

後の病院受診時に先生に状態を説明するため

意識状態や目つき、手足の動きはどうだったか、震えは左右対称であったかまで確認できたらベストです。

急なことで慌てることが多いので、まずは子供の安全を第一に考えて体を整えてあげましょう。

けいれんの後はぐったりして眠り込んでしまうことがよくあります。呼吸がしっかりできていて落ち着いているようならそのまま休ませてあげましょう。

一般的に熱性けいれんであれば5分以内に症状が治まり、そのまま落ち着いていることが多いです。

救急車を呼ぶタイミングや病院に受診する目安
救急車
・5分以上続くけいれん
・けいれんがおちついても意識が戻らなくて呼吸も不安定
・けいれんがおちついても手足や顔面が真っ青
・けいれんが落ちついても激しく嘔吐する

病院受診
・初めてのけいれん
・左右非対称の震え
・けいれん中に眼が正面を向かず違う方向を凝視している
・熱を伴わない
・けいれんは落ち着いたけど、なんだかいつもと違う

まとめ

熱性けいれんは見かけ上、重篤な病気なのかとびっくりしてしまいますが、ほとんどが5分以内には落ち着きその一度きりで収まることが多いです。

まれに何度もけいれんを繰り返したり5分以上続くなど、熱以外の原因が潜んでいる場合もあるので、その際は病院を受診してしっかり精査してもらいましょう。

比較的多い疾患のため、キャンプや遠足、出かけ先など自分の子供以外でも遭遇する可能性があります。

もしみかけたら上記のことを意識して対応してあげましょう。

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